収益減でYouTuberへの憧れは醒めてしまうのか?

YouTubeの動向を分析する記事。

子どもたちの憧れの職業にも名を連ねるようになり、すっかり市民権を得た感のあるYouTuberでしたが、2022年後半あたりから収益が減ったというYouTuberたちの声を耳にするようになりました。

記事では、登録者数の多いYouTuberをピックアップし、2014年1月から2023年1月までの投稿動画を分析。

全体の平均ではピークが2017年8月で、2020年5月以降は

低調のまま推移しているという状態が明らかになりました。

YouTubeの収益はアドセンスと呼ばれる広告収入の分配で、

再生1回あたり約0.05~0.7円なのだそうです。

記事の例に挙がっている「せんももあいしーCh」の2017年にアップされた動画は累計約8億回再生ということですから、0.7円で計算するとトータルで5億6千万円も稼がせてくれたことになりますね。諸々の経費、税金などの計算は省きますのであしからず。

2017年のピーク時の平均値が26.5、2020年5月以降は10以下なので、減小率は約0.38(ピーク時の38%)だから、ざっと2億円ちょっとしか稼げない職業になっちゃった、ということでしょうか。それでもスゴイけど。

経営学者の中川功一氏による再生回数減少の原因分析では、まず第一にチャンネル数の増加(市場の飽和)、次にTikTokの登場によるメディアの交替を指摘しています。

TikTokが優勢になった原因は、動画を早送りすることに慣れた視聴者ニーズの変化で、このあたりはYouTubeもショート動画に本腰を入れて取り組むようになっていますね。

国内の動画広告市場については、2022年度も前年比3割増の

5601億円で、2025年には1兆円に達すると見られている成長分野。

 YouTuber もショート動画への対応を進めているようですが、

収益面ではまだまだ課題が多いとのこと。

こうした数字は、YouTuberがすでにブルーオーシャンではなくレッドになったことを示すわけですが、それでもまだまだ参入障壁は低く、“一発当てる”という可能性は決して低くなっていない分野だと思います。

しかし、モラルも厳しくなり、質も求められるようになってきたことで、思い付きだけで勝ち残れるわけではなくなっているというのも事実。

ショートで釣って長尺へ誘導するという方法も、やはりオモシロい(興味深い)コンテンツでなければ“勝てない”ことが見えているわけで、当事者にとっては気をひきしめなければならず、かなり重要な岐路にYouTuberたちは立たされているんじゃないでしょうか。

一方で、ウォッチャーにとっては活動写真→シネマがそうであったような、クオリティの高い動画を生む環境へ一歩を踏み出すことができるのか──という期待感のもてる展開かもしれません。