罪の償いと社会復帰の考え方について[TVながら観memo]

TBS系列の番組、ドキュメンタリー「解放区」で、「世界一寛容なノルウェー刑務所〜77人殺害テロ事件遺族の葛藤」の見応えがあった。

ノルウェーの刑務所は、世界でいちばん人道的な処遇をしていることで知られているそうだ。

興味が湧いて調べてみると、このドキュメンタリー番組の元ネになっているような記事があった。

なるほど、「解放区」は内容の質にバラつきがあって、この回はかなり充実していると思っていたのだけれど、完全なオリジナル取材というわけではなかったのか。

開話休題、このテーマに関して、どうしても信賞必罰とか被害者遺族の無念とか、加害・被害の当事者以外の論点が混入し、しかも感情的であるために、冷静な考察が難しくなっているきらいがあるけれど、法治国家であることを大前提にすれば、受刑者の人権を尊重した刑務の在り方を考える「べき」で、その意味で”自由”で開かれた刑務所の前例はようやく奇異ではなく社会性のある試みとして参照できるものになるのだろう。

私がノルウェーの刑務所の報道の仕方を観て違和感を抱いたのは、おそらく取材者や編集者、つまりTV局(日本の)側にも「これで刑罰になるのか?」というアンコンシャス・バイアスがあったからではないかと思うのだが、それでも(付け足しのようだったが)更生のプログラムが実施され、改変が見られなければ出所を延期する処分もあるというところに触れていたことは評価だろう。

前出の「べき」を考察するうえで最も重要なエビデンスが受刑者が受ける更生プログラムの内容とその効果の検証だと考えている。

つまり、そこをドキュメンタリーではもっと掘ってほしかった、ということなのだ。