#100分de名著 #中井英夫スペシャル (4)

第4回の「精神科医が読み解く『昭和』と『戦争』。

君側の奸コンプレックス

君側の奸とは、「君主の側で君主を思うままに動かして操り、悪政を行わせるような奸臣(悪い家臣・部下)、の意味の表現。「君側」は主君の側、という意味。」(実用日本語表現辞典)

日本が戦争に向かったのは天皇が悪いのではなく、奸臣がわるい、と思いたがる傾向について

「日本人には近代的自我がないと日本人の知識人はコンプレックスに思っていた」(斎藤環)

太平洋戦争でその矛盾が爆発。

天皇への感情が欧米への感情と重なる?→アンビバレントな感情=愛憎が入れ替わるような

「危険な天皇が出てくるよりも危険な総理が出てくる可能性のほうが1,000倍高い」(中井英夫)

そうした危険性を抑えるための役割としての天皇。

そのかわりに天皇には重圧がかかることになる。

手放しの礼賛はそうした重圧を高めるだけ。

戦争と平和は対称的概念ではない

戦争は進行していく過程(始まりがあり終わりがある、語りやすく、叙事詩的であり、新聞に記事なりやすい)

従って、「単純明快な集団的統一感が優勢となり、選択肢のない社会を作る」

平和は揺らぎながらではあるが状態を示す

平和は秩序が維持される状態

秩序を維持し続けるのが難しいのは、部屋を整頓した状態にし続けるのが難しいのと同じ

平和=エントロピーが高い状態→維持が難しく、戦争=無秩序状態へ向かいやすい

また、「安全の脅威」ほど平和を取り崩すキャンペーンに使われやすいものはない、とも。