小川洋子 河合隼雄『生きることは自分の物語をつくること』【読了】

文化財の修繕のエピソード

小川「京都の国立博物館の文化財を修繕する係の方が、例えば布を修理する時に、後から新しい布を足す場合、その新しい布が古い布より強いと却って傷つけることになる。修繕するものとされるものの力関係に差があるといけないとおっしゃっているんです。」
河合「それは非常に大事なことで、だいたい人を助けに行く人はね、強い人が多いんです。」
河合「そうするとね、助けられるほうはたまったもんじゃないんです。そういう時にスッと相手と同じ力になるというのは、やっぱり専門的に訓練されないと無理ですね。」

臨床心理の仕事について

小川「臨床心理のお仕事は、自分なりの物語を作れない人を、作れるように手助けすることだというふうに私は思っています。」
河合「私は、「物語」ということをとても大事にしています。来られた人が自分の物語を発見し、自分の物語を生きていけるような「場」を提供している、という気持ちがものすごく強いです。」