#ドキュメント20min.選「見えない人の“みる”世界」 [3月14日の動画ながら観】

NHKの「ドキュメント20min.」は興味がわきそうでわかなさそうで、食い足りなさを感じることも多かったことからチェックしていなかったのだけれど、昨夜HDD録画しておいたのを観た民放TVドラマ「100万回言えばよかった」のなかの台詞にグっとくるものがあったからもう1回チェックしようとTVerアプリでザックリと観直したあとに、ふとドキュメンタリーというカテゴリーが目に止まったので眺めていたら、「見えない人がみる世界」というタイトルが飛び込んできた。

“選”と付いているので過去放送のピックアップなのだろうけれど(2022年7月が初回放送)、興味のあるテーマだったので発見できてよかったと思って、NHKプラスで改めて観ることにした(TVerはNHKの番組なのに番宣が挿入されたりといろいろわずらわしいので)。

視覚に障がいのある人たちの外界に対する認知については、伊藤亜紗さんの『目の見えない人は世界をどう見ているのか』『手の倫理』などを読んでいたのだけれど、この番組はその知見をさらに広めてくれる意欲的な&技術的な試みが施されていてとても刺激的だった。

本編では触れられていなったが(もしかしたら“選”ではない初回放送時にはあったのかもしれない、いや、20分の番組だからそれはないか)視覚に障がいのある人の美術館訪問シーンは『目の見えない人は世界をどう見ているのか』でも取り上げられていたもので、そのシーンをチラッと見たからチェック外だったこの番組への興味がわいたというわけ。

番組内容は、その大分美術館での鑑賞シーンで始まり、目の見える人が受けとる情報の8割を視覚から得ているという前置きを経て、落語家の23歳で失明した衛藤宏章さん(35歳)、19歳で失明した西島玲那さん(36歳)、2歳で失明した谷口大さん(3才)の3人それぞれと、視覚に障がいがある人も楽しめるイベントを手がけてきたプロデューサー/キュレーターの田中みゆきさんが一緒に街歩きをして、その見え方のヒントを探っていくようすを記録している。

画期的なのは、その”見え方”をCGグラフィックを用いて映像にはめ込んだカットが挿入されていた部分。

なるほどそういうふうに感じているのかということが、視覚に頼らざるをえない自分にもようやく実感のレベルまで追いつける気がする演出で、すばらしいと思った。

そしてつくづく感じるのは、見えることが必ずしも良い”ことではなく、見えていと思うことでそれ以外の見えていないものを脳=認知から排除しているという悲しい現実。

障がいと呼ぶべきはどちらなのかな。