映画「はじめてのおもてなし」が“対岸の火事”ではなかったと気付いたこと

 

「はじめてのおもてなし」、おもしろい映画でした。

主人公はミュンヘンに住むマダム。

教師を引退し、生きがいを失っていた彼女は、同じく教師を退職して、いまは難民センターで教鞭を執るボランティアの友人をうらやましく思い、自分もまた教壇に立てるようにと難民センターへ足を運ぶようになります。

しかし 、難民の数は増えても教職ボランティアの空席は見つかりません。

そんなときに、ナイジェリアからの難民青年ディアロと出会います 。そして、彼を一時的に支度へ引き受けることで社会参加をしようとするのですが、そこから彼女の家庭問題が一気に表面化して大騒動へ発展……、という内容。

ベースはコメディで、難民問題だけでなく、どの国でもありそうな家庭内のゴタゴタをネタにした、エピソードが盛り沢山。

後味もスッキリする、楽しい映画でした。

 

ドイツの難民事情

日本のメディアでも報道されているように、ドイツのメルケル政権ではブダペストに取り残された難民を受け入れるなど、ヨーロッパ全般で難民の受け入れが規制に傾くなか、唯一の窓口としての役割を果たすようになっている感があります。

しかしそれだけに、トラブルや国内の反発も高まっていることも確かでしょう。

こうした状況を現実として受け止め、興味をもって考えるためのひつとのきっかけになってくれるのが、この映画ではないかと思うのです。

文化の違いや意見の齟齬によるトラブルは、身近な家庭内にもある。

自由を求めて飲まれてきた国に実は自由がなかった、という皮肉。

こうした“気付き”を与えてくれる内容でした。

2018年中盤にかけて単館ですが公開も広がっていくようです。

興味があればぜひお勧めします。