ステマ問題はステルス化しているのだろうか?

 

ちょうど1年前、ネットのニュースでステマが話題になっていました。

 

発端となったのは、この記事。

 

編集コンテンツと誤認させて広告を届ける行為(ステルスマーケティング、いわゆるステマ)に対する考え|Yahoo!ニュースJAPAN

 

Yahoo!ニュースの内実についてこの記事に書かれていますが、ソースは提携各社から配信されるもので、その際の取り決めとして、表記の有無にかかわらず記事広告やタイアップ記事を禁止しているとあります。

 

実は、すでに指摘されていることですが、Yahoo!ニュースは従来の新聞社などと大きく異なる組織で運営されています。それは、編集部をもたないということ。

 

いわゆる通信社的な形態を広げたメディアが、ネットという媒体に合致して発展したというわけです。

 

フットワークの軽さを実現するために、編集というチェック機能を犠牲にして、必要であれば「上書き」によって対処できるという、ネットの特質に合せた形態といえるでしょう。

 

ただし、この形態のウイークポイントは、情報の質のコントロールが難しいという部分。

 

入ってくる情報に毒が混じっていても、それが出回る前に解毒できる可能性が低いという体制なのですね。

 

そうしたウイークポイントを少しでも是正するために、まずは「ステマは許しませんよ」キャンペーンを張ろうとした、ということだと推察しています。

 

これに対して、「ステマは悪いの?」という反論があがりました。

 

広告表記のない広告記事は、なぜ排除される?「ステマ=違法ではない」と弁護士が指摘|Business Journal

 

ここでは、独自に弁護士に取材した内容を掲載し、広告であるという表示がないのにタイアップと考えられるような記事が、Yahoo!ニュースが言っているような景品表示法の優良誤認になるかどうかは微妙という見解を示しています。

 

これは、本来は書かれた記事をチャネルに送り出す際に、編集者というワン・クッションがあることで、自浄作用が働いていたこれまでのメディアとは考え方を改めなければならないことを示唆しているのです。もちろん、従来のメディアでも、編集者が意図的に情報を操作することはありましたし、お世辞にもパブリック広告とはいえないレベルの悪質な記事は存在しました。

 

Yahoo!ニュースでは、編集というワン・クッションを置かないことで成長したメリットが、逆に自分の首を絞めることになったとも言えます。だから、大々的に対処する方針を示したのでしょうし、その点で高く評価できるものと考えています。

 

こうした動きを受けて、「ステマとPRの境界線」について触れた記事も出ています。

 

「先生!ステマって何ですか?」「ステマとPRの境界線はどこですか?」「PR会社ってウラで何をやってるんですか?」|アドタイ

 

ここでキーポイントとしてあげられているのが、記事と企業や商品の関係の明示です。これがあるかないかでステマか否かを振り分けることが、業界としての指針であるとしています。

 

ところが、このガイドラインでは、Yahoo!ニュースが提唱したステマ廃止の基準を満たさないのではないかと思うのです。というのも、すでに問題は「関係性の明示」ではなく、「関係性の有無」にまで及んでいるからです。

 

これは、ジャーナリズムの在り方とも関係する問題なので、できればYahoo!ニュースも宣伝会議も実例を提示して(あるいは警告や処分事例を公開して)方向性を定めるということが求められるのですが、1年経って、事態が進展したとは思えない状況です。

 

多分に「自己規制」に頼りたいという姿勢が見えてしまうところが残念なのですが、コンテンツ制作がこれまでとは比較にならないぐらい拡大している現状にあって、もう少しリーダーシップを示していただきたい事案だと思っています。それが反面教師になっても、です。

 

例えば、「美味しいものを食べた」「みんなにもお勧めだよ」「情報アクセスはこちら」という、いまでは誰もが親しんでいるような記事も、自由に書けなくなってしまう可能性がでてくるわけです。

 

いいなと感じたことを他の人に伝える。これは批評の芽生えだと思います。その目を潰すような、一律の規制は問題と言わざるをえません。

 

いまとなっては、何度も書き直しをさせられたり、怒鳴られたりした「鬼編集者」がいた時代にライター人生を始められたのは、とても幸運なことだったのかもしれません。

 

人格を否定されるような指摘に鍛えられ、ハートも強くなりましたしね(笑)。

 

 

 

投稿者: gwt

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